Creating a Food Forest – Step by Step Guide
要約 Food forest作りのガイド
1.Food Forestに求める事は何か?
まず最終目標を明確にする。
(1)自立・自給自足のため
(2)収入を得るため
(3)健全な食料作りのため
(4)教育のため
(5)家族と楽しむため など。
目標によって、それぞれ時間や労力の掛け方が異なるので、最初から明確にしておくこと。
2.探索し、じっくりと腰を据えて観察し、分析する。
→地元の森を散策して、自分の森で何が一番上手く育つかのヒントを得る。
地域の生態系から学び、それを真似ること。自分の森で一番よく育つ植物を発見すること。
宿根草を特定して、それぞれがどのような関係性の中で成長しているかを観察すること。野生種のリストを作っておくと、自分の森で育てる時に近い品種を選ぶことができる。元々ある在来種の植生を利用すると作業が大幅に省ける。種取りをして、苗を作っても良い。
→じっくりと候補地を観察すること。
自分の森となる場所に腰を落ち着け、コーヒーや紅茶などを淹れながら、静かに周りで何が起きているのかを観察する。野生生物を観察し、風を感じ、周りの自然界の音に耳を澄ませる。
例えば、草刈りをしなくても、そこに生えている別の品種を育てるようにすれば、草を抑えられるかもしれない。観察することで、自然と戦わずに済み、労力や時間の節約にもなり、客観的に重要な情報が見えてくる。
→候補地の調査とベーシック・マップの作成。
「風景(ランドスケープ)を読む」こと、水、気候、土、傾斜、方位(aspect)、野生生物で読み取れることをメモする。
周りの風景と生態系は、気候、地形、土壌、生き物の相互作用から形成されている。こうした要素を一つ一つ読み解くことが、自分の土地をよりよく理解することになる。
候補地を積極的に散策し、調査し、異なる自然のプロセスを観察する。スマホやパソコン等も活用すると、土地全体の気象パターン、地形、水脈を理解しやすくなる。
実際に掘って、土壌の質や構造、生物活性を調べる。土壌の試験を行ってもいい。
手書き、もしくはGoogle Earthなどで、基本のマップを作成し、調査内容を明記して、プリントする。テーマ別にマップを複数作成しても良い。どんなポテンシャルがあるのかが可視化され、デザインすべき所が見えてくる。
3、Food Forestのデザインーレイアウト作成と植物の選定
→一般的なレイアウトを選ぶー果樹園、森林、サバンナ
4つの基本レイアウト:
(1)サバンナー露地栽培、林地の牧草地。販売用の果実、ナッツ、ハーブの生産に向く。効果的な機械収穫のための列植で、大規模。
(2)果樹園ー規則的な間隔の植林地。販売用と家庭用の両方に使えるハイブリッドシステム。等距離の列植。パーマカルチャーでは小規模に作る。
(3)中・後期遷移森林地ーfood forestでは、これを真似ようとしている。多様性に富む、複雑で生産的な樹木、低木、ハーブのパターン。家庭用の食料生産が主な用途だが、郊外の裏庭として設計もできるし、農場レベルにもスケールアップできる。
(4)閉鎖林冠森林ー遷移の最終地点、成熟した森。地元の森。
→まずインフラをレイアウトする。
常設する設備規模を念頭に、デザインを始め、水、アクセス、構造を決める。必要不可欠な要素は、常設される要素になるため、そこから始める。
雨水タンク、灌漑用水路、その他の水要素。アクセスポイント、建物、フェンスなどの場所ぎめ。
まず水を最優先して計画する。水系統を常設してから、他のインフラを整備する。
水関係のデザインが終わってから、道づくりをする。これから長く利用するfood forest内の動線を決めることになるので、候補地を熟考すること。
フェンス作りのパターンは、アクセスによって決まってくる。それぞれの栽培ゾーンを区分けしても良い。
最後に構造物をどこに設置するかを決める。
良いインフラデザインは、メンテナンスを最小限に、生産性を最大限にし、有益な動物たちの棲家を提供する。
→育てたい植物のマスターリスト作成。
自分のfood forestの目的に叶った植物品種のマスターリストを作成する。
食料生産、具体的な栄養物の摂取・保持、益虫の蜜源、雑草を抑えるグランド・カバーなど全体の生態的機能を考慮する。
各カテゴリーごとにスプレッド・シートを作り、育てたい品種や、それに近い品種で地域で育ちやすいものを調べ記入する。
地元の森でよく育っている品種、在来種、または気候が似ている場所で育つ品種や、それに近い園芸品種などを利用し、地元の生態系を真似するだけで良い。
→植物のマスターリストからギルド(仲間植物)を作る。
これがforest gardeningの真髄である。資源を共有し、互いに支え合うのに効果的なpolyculture(混植)を作ること。
ギルドは既知の植物の組み合わせを利用したり、実験しながら新しい組み合わせを見つけながら作っていく。地元の森の生態系をお手本にして真似てもいい。
→区画(patch)設計をするー植栽エリアと株間を決める。
区画のデザインは、列でも、曲線でも、植物をグルーピングしても良い。一番重要なのは、植物同志の株間である。
全体のレイアウトに沿って、区画間の距離をきめ、区画の中での株間を決める。
一番簡単なのは「樹冠が触れ合う距離」で決めること。樹冠の直径分を離して植える。成長した時の樹冠の大きさを調べ、目安にする。
下層植物のために日照を確保する場合や、土壌条件に制限がある場合は、各樹木の間に更に30−50%の距離をあけるといい。
4.将来のfood forest用地を準備する。
→必要があれば、用地を調整する。
不必要な樹木などは伐採し、使えるものは残す。マルチング、コンポスト、ウッドチップ、薪、きのこ栽培などに利用する。
→土木作業をして、保水性を最適化する。
植生を整備したら、水の浸透性、配水性、保持能力などの保水性を最適化するように土木作業をする。
雨水がゆっくりと広がり浸透していくようにする。
2つの手法がある:キーライン・プラウイング(主要線を耕起する)と曲線に沿った畝作り
溜池を作り、水路を作っても良い。
→インフラの設置と灌漑水路、通路、フェンスを作る。
土づくりの後に、通路を設置し、栽培エリアを決める。
良くできた通路は水はけもよく、他の水脈要素と繋がって、水を集める。
フェンス作りは野生生物から苗を保護し、不法侵入、盗掘などの問題から安全性を確保するために必要。
最後に必要に応じて、灌漑し、雨水タンクを設置する。
→土づくりと土壌改良する。
すぐに植栽するのではなく、まず最初の一年間は土壌改良をして、2年目に植栽する方が収量が増える。
土壌調整のために、コンポスト、肥料、カバークロップ(緑肥などの被覆作物)を利用する。
food forestに最適なのは、菌類が細菌よりも10倍多く存在している土である。
菌類やカバークロップを利用して、土づくりをする。緑肥やアカツメクサなどの窒素固定菌を持つマメ科植物は、菌根菌(mycorrhizal fungi)との親和性が強い。
菌類の培養のためにウッド・マルチを蒔くのも良い。
5.植物を調達し、Food Forestの植栽を始める。
→育苗する、もしくは苗を買う。
予算に応じて、木を育てるか、若木を入手する。
育苗は木のことを学べる重要なスキルなので、すぐに始めるのがおすすめ。
すぐに果樹園を始めたい場合は、2年生苗などを購入する。(ただし、高価)
→プロジェクトを段階的に分けて、植栽する。
現実的には、一度に植栽するよりも、段階的に数年かけて植栽する。
1−2年目:生垣や樹冠のある木を植栽する。
それ以降:低木やグランドカバー
おすすめの植栽順序:
防風林・生垣・エッジ→高木層(窒素固定植物含む)→低木層(窒素固定植物含む)→宿根草・グランドカバー→一年草、二年草とつる植物
レイアウトにより、日照とスペースが必要な一年草の野菜を追加しても良い。
→最後に実際に植栽する。
植栽する際には十分な大きさの穴を堀り、根を広げ、菌根菌を種菌として振りかける、もしくは必要があれば菌根菌のある根を水にひたし、そこに植え付ける苗の根もつけておく。
雑草抑制のためにシートでマルチングする。資材は木質系のマルチが望ましい。
結論と次のステップ
Food Forest作りは複数の段階を経るものなので、上記を順序通りに実施する必要はないが、最初に木を植える時の枠組となるものである。